エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
私たちはイスラム風の黄色いドームのついた教会を回り、ホテルのリストランテで食事をした。
海岸線の道路は多くの人が歩いていた。十月はすでに海水浴のベストシーズンではないけれど、泳いでいる人はいる。
博已さんが手配してくれた船に乗り、海から見たポジターノの街はとても綺麗だった。ちょうど夕暮の時間が近づいていて、街の陰影を濃く美しく見せる。同じように観光船に乗っている人々も魅入られたように街を見つめていた。

「高台から見るのも海から見るのも綺麗だと聞いて。ふたりで眺めたかったんだ」

そう言って微笑む博已さんは、心からこの瞬間を楽しんでいるようだった。
私も楽しい。大好きな人と見たこともない美しい景色を見ている。

船から降りるともう夕方。バスに乗り、アマルフィへ戻った。アマルフィ観光は明日だ。
バスを降りると停留所近くの庶民的な食堂で食事をした。ワインに合う魚介類の煮込みは、ローマではあまり見かけない。パスタとプティングでおなかを満腹にして店を出る。
ホテルまでは並んで夜風に吹かれながら歩いた。日中は暑いくらいだったけれど、夜はぐっと冷え込む。観光の疲労とワインで足元が少しだけふわふわした。それがまたいっそう非日常を感じさせた。

「明日はドゥオモ、天国の回廊、ラヴェッロという高台の街に行こう。アマルフィはあまり広くないから一日で全部回れる」
「楽しみ。今日のポジターノも綺麗でしたね。見たことない景色の連続で、まだ現実感がないですよ」
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