エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
「私はまだ……もう一年か二年はふたりきりで過ごしたいです」
「この前、不安な想いをさせてしまったしな。日本で産む方が安全かもしれないよな」
「博已さんのお仕事が理由じゃないですよ? ええと、なんというか、単純な話なんですけど、私はもう少しだけ博已さんを独占していたいの」

菊乃の顔を覗き込むと、困ったように頬を赤らめた菊乃がいた。

「子どもっぽいとはわかってます。でも、赤ちゃんができたら、優しい博已さんは夢中になってしまいそう。私はもう少し……私だけを見てほしいな……なんて」
「菊乃!」

思わず菊乃の腕を引き、その身体を掻き抱いていた。

「そんなに可愛いことを言わないでくれ。きみが愛しくて止まらなくなる」
「博已さんがそうやって私を甘やかして、たくさんたくさん欲しがってくれるから……。私、どんどん我儘になってしまう。私だって博已さんが好きすぎて止められないんです」

夕焼けに染まる街の片隅、木の陰でキスをした。愛しくて胸が苦しい。

「いつか、博已さんの赤ちゃんがほしいです。でも、それまでは私だけの博已さんでいて」
「当たり前だ。これほどきみに夢中な男の気持ちを疑わなくていい。いつか赤ん坊が俺たちのもとにやってきたら、きみも子どもも同じだけ愛すると誓うよ」
「嬉しい、博已さん」

もう一度キスをして、俺たちは硬く抱きしめ合った。

三十代で出会った最愛の女性。恋をして、妻にして、夢中になった。この愛が俺たちふたりのものだと知ったときは、幸福でおかしくなりそうだった。
だけど、今はなお幸せだ。菊乃とならいくらでも新しい感情を知れる。新しい景色を見られる。
俺は愛する妻に人生を捧げようと改めて誓った。
ずっと一緒にいたい。祈りにも似た気持ちだった。




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