敵国へ嫁がされた身代わり王女は運命の赤い糸を紡ぐ〜皇子様の嫁探しをさせられているけどそれ以外は用済みのようです〜


 クラウスは朴訥な性格らしく、仕事以外では基本的に物静からしい。

 したがっていくら令嬢が積極的に働きかけても彼のせいで話は弾むどころか盛り下がって終わってしまうのだ。
 最終的にどこの令嬢も反応の薄いクラウスに寄りつかなくなってしまった。

 話を聞いたオーレリアは指でわっかを作るとクラウスの左手の小指を覗き込む。その小指にはしっかりと赤い糸が結ばれていた。
 さらに赤い糸に意識を集中させていくと、頭の中にある人物の名前が浮かび上がる。


「フレディ様、アニー・ゴードンというのはどういう方ですか?」
「ゴードン伯爵家のご令嬢ですね。クラウス様と同い年でこれまで病気がちな先代伯爵夫人の面倒をみるため社交界デビュー以来、シーズンには姿を見せておりません」
「そのゴードン伯爵令嬢がクラウス様の運命の相手のようです。どうにかして二人を引き合わせることはできないでしょうか?」
「承知しました。お任せください」

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