きっともう君には会えない

「あっれぇ〜？私もしかしておじゃまでした？」




隣で葉津乃が口元を手で覆い

ニヤニヤとした笑みを浮かべながらこちらを見てきた。

その顔を隠しているつもりだったら隠れてない。

しかも絶対いじってるよね。


内心ムカつきながらも実際は焦りの方が大きくて

私は慌てて訂正する。




「そっ、そんなんじゃないよ。……ね！」




私は何とか笑顔で振り向くと光輝は「…うん」

と何故かちょっと溜めた。



「こ、光輝？
ちょっとやめてよね、葉津乃が勘違いするじゃん」



「え〜、なんの事？」



こっちは真面目に話したつもりだが

光輝はふざけたように笑って

なんだか上手く濁された気分で今度は光輝にムカつく。



――何でさっきそんな顔したの？



私は光輝のためを思って言ったのに。

光輝の迷惑にならないように…



いや、きっと違う。



私がそう思いたかったから

そう見えてしまっただけ。





「柊木(ひいらぎ)さん！！奏夢さんが呼んでるよ！！」





その時丁度よく、私は“あの子”に呼ばれた。




「あ！久しぶり。天野ちゃん！！」




ふわっと笑う笑顔が天使の様なこの子は

奏夢 桃花(かなめ ももか)。



女子の鏡のような華やかな存在。

誰もこの子を嫌いな人は居ないだろう






「う、うん。久しぶり。どうしたの？」






上手く笑えてる？




大丈夫かな？





そんな不安が耐えない中必死に笑顔を作る。




「あのね、光輝君呼んで欲しいの。
…ほらあの約束のやつの！お願いできる？」



「……うん。分かった。」