きっともう君には会えない
ダメだダメだダメだ。
早く、早く帰んないと
私がこんは所に居ちゃだめ。
ーーー早く、帰って…
「……ん。……天野、起きた?」
寝起きの光輝はいつもよりほわほわしていて
思わず胸を撃たれた。
……じゃないんだよ、私は早く帰んなきゃいけない。
「……布団貸してくれてありがと。ごめんね。
じゃあ、またあし…」
「まて。」
私が1歩歩いた時、光輝に腕を捕まれた。
「……まだふらついてる。ここで休んでろ
今日は親も帰ってこないからさ、安心しろ。」
「……っ。それが、ダメなのっ!!!
光輝はさ、普通の人に優しすぎるんだよ!!!」
私はその後の光輝言葉を聞きたくなくて
拘束を思いっきり振り払ってそのまま家を飛び出した。
「雨…か」
外に出ると脳天が一瞬で冷えた。
久しぶりの大雨だからなのだろうか
1分も経たないうちに私のスカートは冷たくなっていった。
走れば走るほど靴がどんどん泥で覆われて
歩くほど足が鎖に繋がっているかのように
動けなくなっていく。
まぁ、いっか。
私にはこんな姿がお似合いなんだから。