― 伝わりますか ―
「……そちらは?」

 好奇心を含んだ澄んだ瞳が、悠仁采の存在に触れた。(かしら)の頂きから結われた黒曜たる長髪が不自然に揺らめき、男らしい野生の匂いを漂わせる。

「おじじ……様? どうなされましたの?」

 その場にいる誰もが、悠仁采のただならぬ変化に気付かずにはいられなかった。色黒な肌は真っ青に冷め、再び、しかし今度はゆっくりと半身を起こしたその身を小刻みに震わせている。開いたままの口元は、何かを言いたげに動きはしたが声にならず、ただ獣のように妖しい瞳だけは、その青年から離れようとはしなかった──。






◆以降は2014年に(他サイトにて)連載していた際の後書きです。

 既に沢山の美麗なイラストを下さいましたazサマより、ついに悠仁采の「現在」の姿を戴きました!

 作中では眼帯を付けておりますが、傷を晒しているこちらの姿も圧巻です*

 モノクロとカラーの両方を戴きましたので、どちらも掲載させていただきます☆

 azサマ! この度も誠に誠に有難うございました!!


   二〇一六年一月二十四日 朧 月夜 拝








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