「一緒に虹を、見てみたい」






 しかし、帰る一週間前、何気なくA街の天気予報を確認すると、成人式の日から雨マークがついてるではないか。

 信じられない。画面を二度見するが、ちゃんと雨マークがついている。

 ──嘘、やっと、雨……。

「塩見君、雨マーク……今週末からA街、雨だよ!」

 授業終わり、帰ろうとしていた塩見君の背中に向かって大きな声で言うと、思いの外教室内に響いたらしく、一気に視線が集まる。

 恥ずかしくなって近くまで走り行くと、塩見君に画面を見せる。

「……え、わ……マジか。やっとじゃんっ!」

「本当に……」

 ──嶋原君が消失して、二年二ヶ月後の、冬だった。





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