ケダモノたちのお姫さま
こうされたら拒めるのかよ?
わたしと藍の同居は続いていて、気づけば夏休み。


「いたのか、朝陽うみ」


わたしが四天王専用テラスで朝ごはんにスコーンを食べていると、雪夜さんがやってきた。


「雪夜さん、おはようございます」


前に琥珀くんのおかげで、雪夜さんのわたしに対するスパイ容疑の誤解は解け、今では会えば普通に話す仲に。


「おはよう。めずらしいな、ここで朝食とは。いつもは部屋で済ませてくるんじゃないのか?」

「そうなんですけど、ちょっと昨日の夜…藍とケンカしてしまいまして。気まずいので逃げてきました」


シャワーの設定温度を変えたとか変えてないとかの、くだらない口喧嘩。


「そういうのは面倒だな、同居というのは。いやなら家に帰ればいいものを」

「そうしたいのは山々なんですが、いろいろと事情がありまして…」
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