ケダモノたちのお姫さま
一生かけて愛することを誓う
ここへは、入口を蹴り壊して入ってきたのだろうか。

藍の足元には、破壊されて粉々になった倉庫の扉の残骸が散らばっていた。


「久しぶりだな、一冴」


慎重に歩み寄ってくる藍を一直線に見つめる一冴さん。


「あいさつなんていい。お前をここへおびき出すつもりだったが、意外と早くて驚いた」

「帰りが遅いそらからなにも連絡がなくて、嫌な予感がしたからな」

「まさか、“愛の力”なんて寒いこと言うんじゃねぇだろうな?どうして、この場所がわかった?」

「…正直、俺だけじゃどうにもならなかった。悔しいが、あいつのおかげだ」

「あいつ?」


首をかしげる一冴さん。

すると、藍の後ろからある人物が姿を現した。


金髪に近い明るい茶髪――。


それは、琥珀くんだった!


「琥珀くん…!」

「よかった!そらちゃんが無事で」
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