学校一のイケメンと噂の先輩は、優しい吸血鬼でした
その言葉であたりを見渡せば、赤いカーペット、赤いカーテン、赤い模様かと思っていた壁、口ぶりから予想するに、多分その全てにおじさんの血が含まれているんだろう。
「マジでクソ野郎だな。」
「そろそろ観念したらどうだ。」
「……わかった、降参。
でも秦野ちゃんだけはちゃんと家に帰してほしい。」
「わかった、そうしよう。」
おじさんが部下的な人を呼ぶと、私はそのまま来た時と同じように目隠しをされて、同じように車に揺られて、気づけば自分の家の前だった。
なんかよく分からないまま連れ去られて帰されたけど、話を聞く感じだと、私が捕まったせいで先輩は実家に帰ることになって、更に望まない結婚をさせられるってことだろうか。
私が自分の身くらい自分で守れていたら、こんな事には……。