学校一のイケメンと噂の先輩は、優しい吸血鬼でした

6話




《翌日》


先輩は言っていた通り血を譲ってもらったのか、元気になって学校にきた。


「秦野ちゃんおはよう。」


「おはようございます。」


先輩は私に近づいてきて、怪訝な顔をした。

そしてそのまま、私を人気のない場所まで連れ出す。


「どうしたんですか?こんな所まで来て。」


「秦野ちゃん、怪我してない?」


「あぁ、ちょっとだけ。でも大丈夫ですよ。」


「見せて。」


「大丈夫だから戻りましょう。」


私の言葉を無視して私の腕を掴む。

そして右腕の袖を捲り上げると、先輩の表情は険しくなった。

先輩はひと言も喋らず、私の腕に貼ってあるガーゼを外した。


「これ自分で傷つけたよね?何してんの?」


「先輩に少しでも血を分けてあげられたらって思って…。でも全然上手くいかなくて。」


「こんな何回も切りつけて、なにしてるの、ほんと。」


怒ってるような、でも泣きそうな顔をして私を見る先輩。


「だって……」


「俺のせいだね、ごめんね。
せめて跡が残らないように治させて。」


私の腕に先輩の唇が触れたと思うと、直後に生暖かいものが触れた。

それは間もなく離れていって、私の腕の傷跡は綺麗に治っていた。


「……俺が秦野ちゃんに好きとか言ったのが間違いだったんだ。惑わせるようなことしてごめんね。
もうやめよう。もう近づいたりしない。だからもう自分を傷つけるのはやめて。」


「なんでそうなるんですか…!
私は先輩と居たくて……。」


「ごめんね。」


先輩はそれだけ言うと、私に背を向けて先に戻ってしまった。


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