学校一のイケメンと噂の先輩は、優しい吸血鬼でした
「あの〜、早速で悪いんだけど、急いで来るのに血で羽を生成して飛んできたせいで、若干血が足りてないというか……。」
「いいですよ。
もう記憶無くならないんですよね?」
「もちろん。
あ、でも今日体調悪かったりしない?大丈夫?」
「大丈夫ですよ。」
「お昼ご飯ちゃんと食べた?」
「食べました。」
「気分悪くなったりしたら教えてね。」
「はい。」
「じゃあ腕を出してもらっていいですか。」
「え、首じゃなくていいんですか?」
「あれは抱きしめた勢いで吸いやすいからってだけで、本当はどこでもいいんだよ。
でも少なからず血を貰うから、秦野ちゃんの顔色確認できた方がいいし、腕がいいかなって。
見るの嫌だったら目瞑ってたりしていいからね。」
「なるほど。じゃあ、どうぞ。」
先輩に腕を差し出す。
「前は心に余裕なかったからいきなりだったけど、今度は痛くないようにするから。」
先輩は私の腕に顔を近づけると、少し舐めた後に牙を立てた。
あ、痛くもなんともない。前は一瞬ズキッとした痛みがあったのに。
なんか血が吸われてる感はあるけど。
程なくして、先輩が口を離した。
「体調大丈夫?」
「はい。痛くもなかったし、なんともないです。」
「よかった。
美味しかったよ、ありがとう。」
美味しかった、と言われてどう反応するのが正しいのかわからないけど、先輩の顔色がさっきよりも良くなった気がしてなんだか嬉しかった。
「どういたしまして。」