飲んで、のまれて 愛されて
「はあ…疲れたあ」


営業終わりにタバコを吸いながら茉莉と裕汰とだべっていた。


今日の営業も大変だった
私たちのバイト先は俗に言う大衆居酒屋
近所には昔からあるスナックビルがあり、大学も多くあるこの街は
若い客層から年配の方々まで色々な人が集まる



「おう、朱羽お疲れ!」


3人の談笑を遮り元気よくバックヤードに入ってきた男性が1人


この人は私たちの店舗の店長。
佐藤 忠伸(さとう ただのぶ)



「佐藤さんお疲れ様です!今日お休みじゃなかったんですか??」


うちの店は店長からバイトまでみんな仲が良くてとても働きやすい職場
休みの日も職場に遊びに来たりするくらいアットホームな職場だった



「今日は休みやけど朱羽に話あるからどっか飲みに行かへん???良かったら茉莉も裕汰も」



佐藤さんからの突然の発言に
私は少し驚いた

…話ってなんやろ

今日は大きいミスはしてないし
怒られるようなこともしてない…


一抹の不安を覚えながら
私は佐藤さんにいきましょう!!と返事をした




とはいえ居酒屋が閉店するような時間
この時間開店してる店は多くは無い


あるのは近くにある飲み屋ビルだけ



「朱羽あのビルでいい店とか知ってる??話せそうな感じの…」



佐藤さんはそう言いつつ私の方を見た
なぜ私のことを見たのかと言うと


私は居酒屋で働く前にあの飲み屋ビルで働いていたことがある


その店は潰れてしまってもう無いが…
佐藤さんはこの辺に住んでいる人では無いので土地勘は無い。
茉莉はあのビルに入ったことは無いし
裕汰も地方からでてきた大学生だ土地勘なんてあるはずもなく


お店選びは私の采配に任せられた



「行ったことは無いですけど1件だけなら知ってます」


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