飲んで、のまれて 愛されて
私は一通りお礼を伝えて蘭くんの家を後にした


寒いだろうって上の服を貸してくれて
お風呂も入っていけばいいと提案してくれたが私は首を振った


たかがお客様にそこまでするギリはきっとないから
蘭くんに迷惑がかかる


蘭くんの家から私の職場は徒歩3分程と近かった
だが、蘭くんの家から私の家は歩くと20分以上かかる

今の時刻は13:00過ぎ
あと4時間後には出勤…


帰んのめんどくせぇ…


私は近くの銭湯に向かってから早めに職場に向かうことにした



銭湯ののれんをくぐると普段では見ないような異様な光景が広がる



あっちを見てもどっちを見てもタトゥーや刺青だらけ


ここはこの辺でもタトゥーや刺青がOKで有名な銭湯なのだ


「おお!朱羽!今日は早いなあ!」


いつもの常連さんが声をかけてくれた


「お疲れ様です!ちょっと色々あって…!」



「おー?朝帰りかーーー?」



「まあ、そうと言えばそうですけど…そんなやらしいことしてないですよ!!」



「男と家におって何も無いわけないやろ!朱羽!白状せぇ!」


そう言いながら常連さんは私の肩を肘で小突いてくる


「まじですって!!!そんな人じゃないですもん!」



「ほーー、そらええ男捕まえたんやなあ、、!」



「そういうんでもないんですって!!もう!湯冷めしますよ!はよ帰った方がいいですって!!」



「続きは次またお店行った時に聞くわあ!!ほなまた!」




私はこんな陽気な常連さんに囲まれて仕事が出来ている。


最高の職場に最高の上司、最高の同僚に後輩そして友人



「あれ…そういえば昨日茉莉来てなくない…?」


< 31 / 70 >

この作品をシェア

pagetop