恐怖のギロチン回避! 皇太子との婚約は妹に譲ります〜

アオとシュシュ

 ゆるやかに揺れる馬車の中で、カサンドラとアオが眠るなか、シュシュは眠らず本を読んでいた。

 それは今、シュシュの範囲は狭いが、サーチ魔法をかけているからである。

 某日。セリィーヌ様からカサンドラが部屋にいるとき、アオと一緒にシュシュも呼ばれた。その内容は、カサンドラはズッと何者かに、つけ狙われているという内容だった。

「ドラお嬢様を、ストーキングする者がいるのですか?」

「あぁ、いつもは私が追い払ってはいるが……かなりしつこいね」

「たまに嫌な感じがしたのはそれか……」

 アオは野生の感? なのか気付いていた風だった。気付いていなかった、シュシュはショックを受けた。セリィーヌ様は落ち込むシュシュに、訓練を受けていないうちに出来たら、それは天才だと言った。

「2人にはサーチ魔法を覚えてもらうよ。まあ、できる範囲でいい……何かあったら連絡できるよう、魔道具も渡しておく」

 この日からカサンドラに気付かれないように、シュシュとアオはセリィーヌ様に習い、サーチ魔法を取得したのだ。

(実際に使うのは初めてだけど、別荘を出てから――ズッと、馬車の後を着いてくる者がいる)

 シュシュはまとわり付くような、ストーキング野郎の視線を感じていた。

 それは昼食をとったチリルの街でも、今から一晩泊まるゴロールの街、宿屋まで着いてきていた。だがソイツは近付かず、一定の距離をあけてカサンドラを見ている。

 けど、アオに対しては嫉妬のような視線を送っていたから、ストーキング野郎は男だ。とするとカサンドラの妹、シャリィではない。アオは気付きながら、たまに鋭い視線をそいつに送っていた。そのアオの視線にヤツはビビり逃げていく。

(……意気地なしで、気味が悪い)

 だけど、シュシュは自分に与えられた役目が嬉しくて、気合いが入りすぎているから。カサンドラが他を見ている間に、アオに落ち着けと言われるのだった。

 ――ドラお嬢様は私が守ります!

 シュシュは闘志を燃やしていた。




 ♱♱♱



 
 魔女様にカサンドラの周りをうろつく、不気味なヤツがいると話を聞いた。たまに嫌な視線を感じて周りを見るも、ソイツは逃げ足が早く黒い霧のように消えていく。

 別荘と買い物、隣のカーシン国のときは魔女様に守られていた。王都までの遠出ではシュシュと俺の力が必要だと、魔女様は言った。

 馬車の移動中はシュシュ、街に降りるときは2人で、夜間は俺がサーチ魔法でカサンドラを守る。

 宿で3人一緒の部屋だと言ったカサンドラに驚く、そりゃ、俺の家で、別荘で一緒に寝たが獣化したタヌキの姿でだ。

 サーチ魔法を使用するときは、タヌキのままだと範囲が狭まるから、人型でなくてはならない。一晩中起きている俺をカサンドラは怪しむだろう。

(よかった。シュシュのおかげで、1人部屋にしてもらえて)

 寝ずの番の前に睡眠をとり、心を落ち着かせる。
 魔女様はソイツの行動だけ追えといい、カサンドラに何もしないようなら、捕まえるなと言った。

 だが、ヤツのカサンドラを見る、まとわり付くような視線にイラつく。

 俺はカサンドラの騎士だ。
 何があっても、守る。
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