恐怖のギロチン回避! 皇太子との婚約は妹に譲ります〜

59話

 予定通り、カサンドラたちの馬車はデュオン国の王都に到着した。王妃教育の為に毎日のように通った王都から、数ヶ月離れていたか、王都の門がカサンドラは懐かしく感じた。

「進まないな。やけに……馬車が多い」
「そうですね」

 カサンドラ達は馬車の渋滞に巻き込まれて、門の前で数十分待たされていた。アオ達は不思議に思い、カーテンを開けて窓の外を覗き呟く。

 それもそう。
 
「アオ君、シュシュこの渋滞は――今夜、王城で開催される舞踏会に訪れた、貴族たちの馬車の列ですわ。しばらく待たないと入都できないと思います、ゆっくり待ちましょう」

「舞踏会に訪れた貴族か……凄い数だな」
「そうですね」

 2人にとって貴族の数、この馬車の数は初めてだろう。
 多くの舞踏会、お茶会に参加してきた、カサンドラは慣れたもの。
 
「あら、怖気付いたの? 今夜の舞踏会で私達は目立つわよ。なにせ、アサルト皇太子殿下に婚約破棄された、姉が参加するのですもの。本来ならお断りするはずですが――妹から送られた、あの変わったドレスと招待状は王家から贈られていたので、お断りできないようにされましたわ」

 貴族は――王家からの招待を理由もなく断ることはできない。癇に障り、アサルト皇太子殿下に、不敬罪とされるかもしれない。

(シャリィは上手く、アサルト皇太子殿下の名を使い……私を今夜の舞踏会へと呼び出したわね。今頃……贈られたドレスを着て、私が舞踏会に参加すると思っているかも)

 あの子の、にやけた顔が思い浮かぶ。

 だけど、あなたの思惑通りにはならない。
 シュシュが仕立て直した素敵なドレスと、アサルト皇太子殿下よりも素敵な、騎士アオを見て驚きなさい。

 
 
 約1時間後、カサンドラ達は王都へ入都した。宿屋を決めて5日分の前払いをして。御者にはチップを渡して、自由に王都観光をしてもらい。カサンドラ達は部屋で、舞踏会の時間まで休むことにした。

 昼食は食堂でとるか、頼めば部屋に持ってきてくれるが。カサンドラはドレスを着るので、食事は抜きである。

「お腹が空きましたわ。舞踏会前の食事抜きはキツイですが。シュシュは食堂に行くか、部屋でしっかり食べてね」

 カサンドラが食事を取らないからといって、シュシュまで我慢しなくていい。夜から始まる舞踏会で食事をとることは出来ないと思うから、シュシュにはしっかり食べてほしい。

「はい、さっきほど、カウンターでサンドイッチを頼みました」

 しっかり者のシュシュに、余計な心配は要らなかったと、カサンドラは笑ってしまった。

「届いたら、遠慮せず食べない。私は2時間くらい眠るわ」

「はい、ごゆっくりお休みくださいませ」

 ベッドに横になって、カサンドラは目を瞑った。

 
 
 2時間後。

 目を覚ました、カサンドラはクリーン魔法の後。匂い付けに薔薇を浮かべてお風呂を済ませて、髪を乾かし、シュシュが仕立て直したドレスに着替えはじめた。

「クッ、シュシュ、久しぶりのコルセット……キツイのだけど」
 
「ドラお嬢様、しばらくの辛抱です。紐を縛りますので、息を吐いてください!」

「ヒェッ、ここまでの道中で……食べ過ぎましたわ」
「ええ、美味しい食事をたくさん食べました。ですが、ドラお嬢様、我慢です」

「⁉︎」

 カサンドラは、シュシュ遠慮なくコルセットを締め上げられた。
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