いつどこで誰が何をした
10月31日

翌日


今日はいつもよりかなり早めに家を出た。
向かうのは1年3組の教室。柿田陣のいない教室だ。

「ひかる!」
僕が入るとみんながこっちを向く。
だいぶ早く来たつもりが、既に全員が揃っていた。
「ひかるさん、昨日のメッセージ…」
「うん、めんどくさいことになったね」


「柿田達のグループとこっちとでそれぞれ一つずつメッセージが来るってことだ」
枕崎が前に立って説明を始める。

「まあそれはゲームマスターの趣旨だから仕方ないとして、厄介なのは今回のこの新たな制度を導入させたのは紛れもなく俺ら自身だってこと」
うん。めんどくさいのはそこだ。
「犯人は自分でプランニングしたゲーム進行ではなく、俺らの行動を見張り、そこから新たなルールを追加してるんだ」

「一昨日の身代わり制度も多分そうだと思う」
僕はそう言って枕崎の隣に立つ。
「一昨日僕が取り乱した時、祐樹が殴って助けてくれただろ。よしきも熱い友情劇だったって言ってた。だから誰かを庇うことができる制度が導入された。クラスメイト同士の関係性がゲームのルールに大きく繁栄するんだ」
犯人は、常に僕らを見ている。

僕は黒板の上を見た。
警察の監視カメラがついている。

…常に見られてるってのはなかなか気分が悪いな。


「…余計なことはしないほうがいいってことか」
東坡が静かに言った。
まあ、そういうことだよね。
でもこのグループ分けの戦犯ぶちかましたのは柿田だよ。今頃何してんだろうな。


「あ、そうだ。みんな昨日『8』から個別っぽいメッセージ来た?」
昨日のあれは僕だけじゃないよね。
多分みんなにも何か似た様なものが送られてると思うんだけど…

「え?個別?なにそれ」

「グループの連絡以外来てないけど」

「ひかる…なんか来たのか?」
柳谷が席を立って教卓に肘をつく。

え…僕だけ?あれ僕だけなの?
なんで?
リーダーだから?
うわ、まじ?

「送られてきたんだな?ひかるは」
枕崎が僕を見る。
「なんて来た?」
興味津々に言われる。
みんなの視線も感じる。

う、うわー
言わなきゃ良かった…

「教えたら死ぬとかある?」
いやー
「多分大丈夫だと思うけど…」
「教えて」

まあ気になるよね。
そうだよね。
うーん


「どんな些細なことでも情報共有する」

「でしょ?」
山野が静かに言った。


「…そうだね。でもみんな…驚かないでね」

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