私のお兄ちゃん season1
さりながその日、帰宅しようとすると、下駄箱に玲蘭がいた。



玲蘭はさりなに気がついて、目を逸らす。


が、さりなに対して、何か言わなくちゃという気持ちが出てきて、顔を上げた。



「あの.......逢沢さん。」



さりなは無視して、何も言わずに乱暴に靴を履き替え、昇降口を出た。




後ろから洋一が走ってきた。




「さりなー!」



「なによ、洋ちゃん、私今機嫌悪いの。」



「伊織、対バンやるってさ。」



さりなは足を止めて振り返る。



「本当?」



「おう!さりな、この際だから、作詞してみないか?新曲、作ろうぜ?」



バンドを盛り上げて、このゴタゴタを解決しようとする洋一の気持ちもわかったさりなは無理矢理笑顔を作ったが、下を向く。



「さりな、あの.....。」



「いや、あのね、洋ちゃん、私、この前伊織に、自分が交換条件にしたんだろ、って言われて、なんだか、ショックだったというより、
恥ずかしくなっちゃって。


確かにね、そうよね。付き合ってくれただけで、好きだ、なんて言われたことないもん。


口約束だったんだよ、所詮。
伊織の気持ちはあの子にあることは、前から薄々勘づいてたし。


だけど、私、まだ、伊織のこと、諦めたくなくてさ。」



「諦めなくて、いいじゃん。


伊織は、おまえの声に惚れ込んで、言い方悪いけど、付き合ってでもバンドに入れたかったわけだろ?


彼女としてじゃなくて、ボーカルとして寄り添っていけばいつか、粘り勝ちってことも...。」



「なにそれ!洋ちゃん、超ポジティブ!」



「例えばの話だよ!」



さりなはキャハハと笑って、洋一の肩をバンバン叩く。



「ありがと、洋ちゃん。私、土曜日にそうやって伊織に言ってみる!

彼女じゃなくていいから隣にいさせてって。」



「それでこそ俺が知ってるさりなだよ。」



「ありがとう、洋ちゃん。あ!じゃあさ、今からファミレス行って、作詞したいな。」



「あー、じゃあ赤いの看板の方な!どうせおまえパフェ食うんだろ?デカイの!」



「嫌!黄色い看板の方!洋ちゃんのオゴリね!金持ちだし、いいよね!」


「俺だってお小遣い上限あるんだよ!まぁ、いいけどさぁ。」



さりなが走っていくのを洋一は歩いてゆっくりついて行くのだった。
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