ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
かわいい雑貨屋で、レイラは平積みされている赤い表紙の本をじっと見つめていた。ルーカスもそんなレイラを横からじっと見つめて5分はたった。やっとルーカスが口を開く。


「それが欲しいのか?」


レイラはルーカスからの問いに頷くでも、首を振るでもなくまた考え込んだ。ルーカスはイエスノー質問だったのに返事がなくて困ってしまう。レイラは一生懸命考えていた。


(この本、中身は白紙ですわ。つまりこれから字を書くという役目の日記帳で)


赤い本の前に飾られた紙には紹介文があった。『好きな人と交換日記で親密になっちゃえ!』である。購買意欲をそそる素晴らしい煽り文句だ。


(交換日記、ものすごく魅力的な商品ですわ。でも、これを買いたいだなんて言って、ルーカス様に一緒にやろうだなんて、そ、そんなこと私が言えるわけありませんわ。


欲しいかと聞かれるとものすごく欲しいのですが。やりたいかと聞かれるとものすごくやりたいのですが!


でも死ぬかもしれないからと婚約破棄を保留にされているだけの女から、こんな女々しいものを強請られて迷惑がられたらと思うと、もし優しいルーカス様が「嫌々」書いてくれたらなんて思うと!!動けませんわ)


レイラはめちゃくちゃ長考していたが、それを影から見つめていたアイザックは目を手で覆って天を仰いだ。
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