ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
色んな出来事が重なって焦っていたとはいえ、昨夜はレイラに抱っこやお手てひっぱりなんて、過剰な触れあいを勢い余ってしてしまった。エスコート以外で触れたことなんてなかったのに。
(俺は、れ、レイラにあんなことや、こんなことを!!そ、そういうことは正式に結婚してから……こ、婚約者としてあるまじき蛮行!)
婚約者としてなら全然セーフティな範囲の触れ合いであったのだが、ルーカスは一人で悶える。一晩明けて羞恥が蘇って体中がむずがゆくてモゾモゾしてしまう。
仕事中は切り替えていたが、終わればこの様である。ルーカスは執務室の真ん中で立ち尽くして耳を赤くした。
乙女っているルーカスの元に、側近の老人が出勤してきた。ドアの開く音と共に、ルーカスはスッと真面目公務顔になる。老人はルーカスを見上げてしわくちゃの皺の奥の目を上げた。
「殿下、お早いですね」
「ああ、すでに朝の仕事は終わらせておいた」
「もう?」
「必要なものは全て机の上に置いた。もし何か不備があれば言ってくれ。俺は用事だ」
足早に執務室を出て行った殿下の行き先に、老人は見当がついていた。急いで去って行く背中に向かって、ついシワシワの顔で微笑んでしまう。
「婚約者殿のところですな?ホッホ、お若いですなぁ殿下」
堅物第二王子が突然、婚約者を王城に連れ込んだ!の噂は、一晩ですでに王城の隅々に届いていた。