ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─
妹の話を遮って最後まで聞かないルーカスに、アイザックは露骨に嫌そうな顔をした。顔だけで意思表示しても、ルーカスは察しないと悟った。
(俺、女の子には優しい主義なんだけどね)
だが、主人の命令には逆らえない。破格のお値段、好条件で雇われているからだ。アイザックは少女向けに、爽やかな風が吹く笑みをつくった。
「失礼しますね、ベル様」
「キャッ!」
アイザックは護衛騎士のしっかりした腕で、まだ小さなベルを軽々と横抱きに抱き上げた。ベルは大きな瞳をますます大きく開いて、手足をばたつかせて抵抗する。
「やめなさい!こら!」
「お部屋まで、アイザックがお送りしまーす」
「エッチぃい!!」
「ルーカス様の!ご命令で!!ベル様のお見送り中でーす!」
エッチ呼ばわりされて外聞が悪いアイザックは、大声で説明しながら廊下を歩いて行く。即座の外聞対応にアイザックの世渡り上手が伺える。暴れるベルをドウドウとあやしつつ、抱っこして去って行った。
「やっと静かになった」
ルーカスはそこから精神統一に入り、半刻後、ようやくレイラの部屋のドアをノックした。