【電子書籍化】最初で最後の一夜だったのに、狼公爵様の一途な愛に蕩かされました
 ルイスは、自分も同行すべきかどうか、迷った。
 カリーナには、偽の番、可哀想、などと言われたあげく、偽物との婚約を解消すべきだと言いふらされた。
 そんなカリーナに対する怒りはあるし、彼女がどんな結末を迎えるのか、自分の目で見たい気持ちもある。
 けれど、現場の空気がどうなっているのか、追い詰められるカリーナをわざわざ眺めにいきたいかと考えると、行きたくない気もして。
 ルイスの迷いを感じ取ったのだろう。グレンは、ぽん、とルイスの頭に触れる。

「……きみの好きにしていい。カリーナは、もう逃げられない。俺たちがこれ以上なにもせずとも、相応の処分を受けることになるはずだ。だから、一緒に来るかどうかは、きみに任せる。言ってやりたいことの1つでもあれば来てもいいし、ここで帰りを待っていてもいい」
「言って、やりたいこと……」

 行かないほうに気持ちが傾いていたルイスだったが、グレンの一言で考えが変わった。
 
「グレン様。私、カリーナ様に聞きたいことがあります」

 まだ座ったままだったルイスが、グレンを見上げる。
 彼女の瞳が、真剣な光を宿していたから。
 断罪されるカリーナを安全圏から眺めたいわけではないことも、わかったから。
 グレンは、己の番に手を差し出した。

「わかった。なら、一緒に行こう」
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