緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 国王の言葉に、出席していた大臣や文官たちの緊張が解れたのだろう、先程とは打って変わって、会議室は和やかな雰囲気へと変わって行った。

「王女殿下の容態もすっかり良くなられてそうで……安心いたしました」

「不治の病と言われた病気の特効薬を、ローエンシュタイン卿が完成させたそうですな」

「素晴らしい功績です。さすが天才と称される魔術師団長ですね」

「して、婚約式の準備はどれぐらい進んでいるのですかな? 国民も首を長くして待っておりますよ」

 フロレンティーナとヘルムフリートの婚姻は、国民全員が待ち望む明るい話題となっている。
 死を待つばかりの不治の病に罹った王女を、恋人の魔術師が愛の奇跡で救ったという話が王国中に広まり、国民たちから絶大な人気を博したため、物語となって今後絵本や演劇となる予定となっていた。……本人たちの意思とは関係なく。

「会場の準備は装飾の手配ですね。依頼先がまだ決まっていないようです」

「装飾であればいつものように『プフランツェ』の生花を使って飾り付けるのでは?」

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