緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長

03

 昇り始める太陽の光を感じ、私は眠りから目覚めた。
 季節は秋から冬へと移り変わろうとしている頃なので、明け方の部屋は肌寒い。

(……うう、寒いよう……。何か温かいものが食べたい……!)

 私はのそのそと起き上がり、朝の準備をしてキッチンへと降りた。

(確か昨日のスープが少し残っていたはず……)

 魔導コンロに火を入れると、ほんのりと空気が暖かくなってホッとする。

 そうして、昨日の残りの具だくさんのスープと温かいパンを食べた私の身体はじんわりと温まり、寒さでガチガチだった身体はいつもの調子を取り戻す。

「よーし! 今日も頑張るぞ!!」

 私は寒さに負けないように声を出して気合を入れ、いつものように温室へと向かう。

 温室は温度を一定に保つ魔道具が付いているので、私の部屋より快適な環境となっている。冬の間だけでもここで眠りたいと、私は密かに企んでいた。だけどそのためには色々買い込まないといけないので、未だ野望は達成されていない。

< 20 / 326 >

この作品をシェア

pagetop