竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
フードを被ったその人間は、杖をとん、と地面に突き立てる。
杖に括りつけられた鐘がまた、からん、と音を立てた。
「……っ」
鐘の音が響くたび、エリナの視界がぶれる。
わずかに遠ざかって、膜の掛かったような意識の中、嗄れ声のフードは、遠くから響く、幽鬼のような声で話した。
「不貞の王妃、エリスティナ。あの女も、愚かな女だった」
「――……」
「雛を拾い、そのあげくに死んだ。己を投げ捨てることが美徳だと言わんばかりの、腹立たしい女……民草からどれほどあざけわらわれているかも知らず逝った、馬鹿な女」
「そんな、こと、思ってなかった……」
エリナは、煙る意識の中、必死でそう返した。
それが、エリナの生まれ変わりがエリスティナであると、白状したも同義であることには、曇った思考力のせいで気付けなかった。
エリナの胸がずきずきと痛む。
かつて貫かれた場所が、あの頃を思い出す。
杖に括りつけられた鐘がまた、からん、と音を立てた。
「……っ」
鐘の音が響くたび、エリナの視界がぶれる。
わずかに遠ざかって、膜の掛かったような意識の中、嗄れ声のフードは、遠くから響く、幽鬼のような声で話した。
「不貞の王妃、エリスティナ。あの女も、愚かな女だった」
「――……」
「雛を拾い、そのあげくに死んだ。己を投げ捨てることが美徳だと言わんばかりの、腹立たしい女……民草からどれほどあざけわらわれているかも知らず逝った、馬鹿な女」
「そんな、こと、思ってなかった……」
エリナは、煙る意識の中、必死でそう返した。
それが、エリナの生まれ変わりがエリスティナであると、白状したも同義であることには、曇った思考力のせいで気付けなかった。
エリナの胸がずきずきと痛む。
かつて貫かれた場所が、あの頃を思い出す。