竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 礼服を着たエルフリートはさっさと己の番であるダーナに抱き着きに行ったから、エリナにはクリスの姿がよく見えた。
 白いフロックコートに身を包んだはちみつ色の髪をした美青年、緑色の、形よいアーモンド形の目はエリナを見て見開かれている。

 そんなさまでもかっこいいからずるいわ、と思いながら、エリナはクリスに控えめに笑いかけた。
 途端、クリスが勢いよく顔をそらす。

「どうしたの?クリス」
「い、いえ」

 そう言って、相変わらずエリナを見ようとしないクリスに少しだけ不安になる。
 このドレスは、そんなにもクリスの目から見て似合っていないだろうか。
 さきほどまで自分は綺麗かも、なんて思っていたことも忘れてしまいそうになりながら、エリナはしゅん、と自分の、ドレスの裾に隠れてしまったつま先を見つめた。
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