竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

 ジャガイモはホクホクでほんのり甘く、スープに絡んであたたかく胃の腑に落ちる。

 ニンジンも甘くて、肉は柔らかい。ミルクとバターふうわりとした香りと相まって、鼻も楽しませてくれる。
 エリナは頬に手を置いてにっこりと「私って天才だわ」と自画自賛した。

 湯気の立つシチューはまだたっぷりある。
 これにはクーも満足だろうと思って、ふと前に視線をやった。驚く?それとも喜ぶだろうか。満面の笑顔で食べている様子が目に浮かぶ。

 しかしながら、さぞかしおいしそうに食べているだろうと予想した青年の顔は、エリナが想像したどんな顔でもなかった。

「…………」

 クーは泣いていた。
 ぽろぽろ、ぽろぽろと涙がこぼれてはシチューの器に落ちていく。

「く、クー!?」
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