まじないの召喚師2 ー鬼の子と五大名家ー


「火宮さん、いつまでだんまりを続けるおつもりですか」



「皆、あなたの言葉を待っているのですぞ」



「とっとと話して楽になりましょうや」



「我々も暇ではないのでね」



火宮を責める、四人のおじさんの声。

これってもしかしなくても、五家の集まり?

先輩を見ると、真剣な顔で頷いた。



「……我が無能な愚息が迷惑をかけた。あやつは破門とする」



火宮当主はたっぷりと間を開けたあと、先輩を切り捨てる発言をするも。



「いやね、おたくのお子さんの処分を聞いてるわけじゃないんですよ」



「何故隠していたか知りたいのです」



「子供とはいえ鬼の封印が解けたのだ。一大事だろう」



「よもや、鬼を使って武力で我らを従わせようとしたわけではあるまいな」



「そんなことは……」



四人のおじさんに一蹴された。

ごまかしは通用しない。



「生まれ変わりの花嫁のことも、隠していたようであるし」



「…………」



咲耶のこともバレてんだ。



「愚息が勝手にしたことであります。我は報告を受けておらぬ」



「あれ? おかしいなー。文化祭で火宮当主と一緒に花嫁を見かけたけど」



雷地が口を挟む。

火宮当主は、余計なことをと舌打ちした。



「なんと」



「それはまことか」



「隠蔽の罪は重いですぞ」



「見間違いでしょう。仮面をつけているのだ。勘違いしても不思議ではあるまい」



「この状況で建前を持ち出すとは、愚かしい」



呆れるおじさんに加勢する、少年の声。



「火宮夫妻と来てたよね、陽橘の彼女さん?」



「うんっ、ハル君かっこよかった!」



「咲耶っ……!」



「小娘め……」



雷地の質問にケロッと答える咲耶に、焦る弟君と火宮当主。

咲耶は自分のしでかしていることをわかっているのか。

今、火宮は不利な立場に立たされているんだぞ。

私は妹がそんなバカじゃないと知っている。

何を考えているんだろう。

< 46 / 90 >

この作品をシェア

pagetop