まじないの召喚師2 ー鬼の子と五大名家ー

被害者がいなくなればいいんだろ



「お前達!」



当面の危機が去ると、当主達が揃って進み出てきた。



「老害め……」



「先輩……」



背中をつついて小声で諌める。

ノールックで顔面に肘鉄をくらった。

ひどい。



「神水流の次期当主よ、この責任はどうとられるおつもりか」



「此度の神水流の行為で、何人死んだと思ってる」



「我が家の被害は甚大にして」



「全ては神水流が仕組んだことだ」



各家当主が口々に言うが。

火宮当主、貴様は違うだろう。

本人がいないからって、しれっと全ての罪を押し付けようとするんじゃない。



「じじいどもが。脅威が消えて集団になったら活気づきやがって………」



響が聞き取れないほどの声量で毒を吐く。

しかし表情は変わらない。

本人達を目の前にして、すごい胆力だ。



「偉そうにすんなよ、真っ先に逃げようとしたくせに」



「雷地、黙りなさい」



本人達を目の前にして、すごい胆力だ。



「不祥事はよくないでしょ。純粋に可愛いを褒めてもらえなくなっちゃう」



「柚珠!」



「自身の正義に一度でも傷をつけると、戻ってこれなくなる」



「常磐、お前もか」



本人達を目の前にして、以下略。


彼らは、響を守るように周りを固める。

胆力とは、次期当主には必須の能力らしい。



「お前も、そちら側につくというのか」



「勿論」



火宮当主の睨みを受けても、先輩は微笑み返す。



「あそこは一丸となって、巨人を討ち倒す場面だったはずだが」



先輩も、結界を破り逃走を図った当主達の行動を責める。

もちろん私も先輩の味方なので。

先輩の半歩後ろに控えるように立つ。


これは先輩を立てているのであり、決して盾にしようとしているわけではないと言い訳しておく。

先に反論してきたのは金光院当主だ。



「我々は当主だぞ。倒すのは貴様らの役目」



返しは勿論、次期当主の雷地。



「何のための次期当主だ。親父が死んだら、俺が跡を継いでやる。経験豊富な年上が、先陣切って戦えよ」



それから彼は、思い出したように眉尻を下げた。



「……あ、ごめんね。返り討ちにあって、尻尾巻いて逃げたんだったねぇ」



「あれはわざとだ! お前達に経験を積ませる為にだな…」



「見苦しいなぁ。親父は俺達より弱かったって認めろよ」



「雷地……!」



「黙っておれ、金光院。……いくら次期当主といえど、今は子供。当主は任せられん。つまり万が一、我らが死んでは家が無くなってしまう。それでは残されたものが困るのだ」



「残された子分達はボクが率いてあげるから安心してよ。ダメならその程度の家だったってことでしょ。腰抜けの家なんて潰れちゃえ」



「この、親不孝者め……!」




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