転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!

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 再び食事の場に戻ると、ジョゼフ五世陛下とマルク殿下は、険しい顔つきで私たちを迎えられた。他に残っているのは、ローズ、モンタギュー侯爵、コレット、エミール、そして少数の重臣のみだ。他の参加者たちは、すでに帰った模様だった。料理は全て回収され、楽師らも引き上げ、打って変わってものものしい雰囲気である。



「陛下、マルク殿下。申し訳ございません。料理人ですが……」



 アルベール様は、ご報告されようとしたが、国王陛下はそれをさえぎられた。



「その件については、すでにモンタギュー侯爵から聞いた。今集まってもらったのは、サリアン伯爵家の侍女殺しの件だ」



 すると、ドニ殿下が仰った。



「愛しいモニク嬢にも関わることですから、私も関心が無いわけではありませんが。ですが、重要な催しを中断してまで、今その話を持ち出される必要はあるのでしょうか?」

「それは、お前に不都合な話だからか? ドニ」



 鋭い声音でそう仰ったのは、マルク殿下だった。



「バール男爵とシモーヌ夫人が殺害された際、私は早々にモニク嬢を犯人と決めつけてしまった。その反省から、次にアンバーという侍女が殺された際、私は慎重になろうと決めたのだ。サリアン伯爵邸の門番と森番は、本当に真実を語っているのか。私はそのことを、彼に命じて調査させていたのだ。判明次第、鷹狩りの途中でも何でも報告せよと命じていた」



 マルク殿下は、先ほど私たちを呼びに来た忠臣を見やった。



「彼には、サリアン邸の門番・ガストンの郷里に行ってもらった。ガストンの親は、重病を患っていたのだが、最近たいそう高価な薬を購入して、回復したのだとか。その金の出所をガストンに問い詰め、偽証の罪に問われる可能性を示唆したところ、彼はこう白状した」



 マルク殿下は、ドニ殿下をじっと見つめられた。



「さるお方に、親の治療費を出す代わりにこう証言しろと命じられたと。一つは、『アンバー殺しの夜、アルベール殿はサリアン邸に来ていない』。もう一つは、『バール男爵殺しの夜、サリアン邸の中庭で、男性の影を見た』。……そしてそれを命じたのは、ドニ第二王子殿下だ、と」

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