転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!
10
(やはり、推理は当たっていたようね……)
ドニ殿下の蒼白なお顔を観察しながら、私は確信した。ずっとロケットを捜しておられたにもかかわらず、彼は他言されなかった。それは、アンバーの殺人現場に落とした可能性があったからだ。
さらに引っかかっていたのは、犯人が森番に目撃されたのが、アンバーがサリアン邸を出た翌日だったことだ。口封じに殺すのであれば、当日に実行してもよさそうなのに。
恐らくアンバーは、サリアン邸を出たその日に殺されたのだろう、と私は踏んでいた。翌日に男性が……ドニ殿下が目撃されたのは、ロケットを捜しに戻られたに違いない。このロケットは、彼にとって、それだけの危険を冒す価値があるものだ。
(だったら、利用しない手は無いわ……)
「返していただけませんか」
ドニ殿下が、低く呟く。
「私の質問に、お答えになったらね。なぜ、あの森の中に落ちていたのですか」
「……それは。アンバーの献花に訪れたことがあって。その時ではないかと……」
「先ほど、離宮へ来られる朝まではお持ちだったと、仰ったではないですか。ここへ来られてから、あなたは外出禁止でございましょう? 献花など、行けるわけが無いですわよね」
私は、再び懐にロケットをしまった。ドニ殿下が、血相を変える。
「ロケットを返してくれ!」
つかみかかろうとする彼を、私はとっさにかわした。
「私を殺してロケットを奪おうとしても、無駄ですわよ! 私が今夜ここに来ていることは、マルク殿下がご存じです」
「何だと?」
殿下の動きが止まる。本当です、と私は言った。
「マルク殿下は、弟君から私を奪う結果になったことを、気にされているのですわ。それで、私がここへ来る手引きをしてくださいました。……ですから、今夜私にもしものことがあれば、真っ先に疑われるのはあなたですわよ」
ドニ殿下の蒼白なお顔を観察しながら、私は確信した。ずっとロケットを捜しておられたにもかかわらず、彼は他言されなかった。それは、アンバーの殺人現場に落とした可能性があったからだ。
さらに引っかかっていたのは、犯人が森番に目撃されたのが、アンバーがサリアン邸を出た翌日だったことだ。口封じに殺すのであれば、当日に実行してもよさそうなのに。
恐らくアンバーは、サリアン邸を出たその日に殺されたのだろう、と私は踏んでいた。翌日に男性が……ドニ殿下が目撃されたのは、ロケットを捜しに戻られたに違いない。このロケットは、彼にとって、それだけの危険を冒す価値があるものだ。
(だったら、利用しない手は無いわ……)
「返していただけませんか」
ドニ殿下が、低く呟く。
「私の質問に、お答えになったらね。なぜ、あの森の中に落ちていたのですか」
「……それは。アンバーの献花に訪れたことがあって。その時ではないかと……」
「先ほど、離宮へ来られる朝まではお持ちだったと、仰ったではないですか。ここへ来られてから、あなたは外出禁止でございましょう? 献花など、行けるわけが無いですわよね」
私は、再び懐にロケットをしまった。ドニ殿下が、血相を変える。
「ロケットを返してくれ!」
つかみかかろうとする彼を、私はとっさにかわした。
「私を殺してロケットを奪おうとしても、無駄ですわよ! 私が今夜ここに来ていることは、マルク殿下がご存じです」
「何だと?」
殿下の動きが止まる。本当です、と私は言った。
「マルク殿下は、弟君から私を奪う結果になったことを、気にされているのですわ。それで、私がここへ来る手引きをしてくださいました。……ですから、今夜私にもしものことがあれば、真っ先に疑われるのはあなたですわよ」