転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!

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「申し訳ございませんでした」



 アルベール様が、再び謝罪される。そこへ、取りなすようにミレー夫人が口を挟まれた。



「あなた、アルベールの気持ちも考えてあげて。バルバラ夫人の麻薬使用が発覚すれば、罰を受けるのは、彼女だけでは無いかもしれないわ」



 ミレー公爵が、言葉に詰まられる。このモルフォア王国で、麻薬使用は大罪とされている。そのため、連座制で、麻薬使用者の配偶者も処罰を受ける場合があるのだ。



「使えなかろうが害悪だろうが、モニクにとってサリアン伯爵は、実のお父上です。ローズ嬢を除けば、唯一の肉親でもあります。私は彼を、何としても庇い通したかったのです」



 アルベール様が、静かに仰る。



「とはいえ、父上の仰る通りです。私情に駆られて、犯罪者を庇うなど、騎士失格でございます。いかようにも、ご処分を」



 ミレー公爵は、しばらく黙っておられたが、やがてかぶりを振られた。



「……もうよい。それに私はもう、お前を処分する立場ではいられない」

「どういう意味でございます?」



 アルベール様が、怪訝そうにされる。いや何でも、と公爵は仰ると、私をご覧になった。



「モニク嬢。私は王立騎士団長として、このリストを見逃すわけには参りません。サリアン伯爵も、何らかの処分を受ける可能性がありますが、お覚悟いただきたい」

「構いませんわ」



 私は、きっぱりと申し上げた。



「バルバラ様が罪を犯されたのは、事実。その夫である父が責任を問われるのも、致し方ありません。……そして、アルベール様」



 私は、アルベール様の方を向いた。



「お気遣い、ありがとうございます。でも、私の身内は、もう父だけではありませんわ」



 アルベール様だけでなく、その場にいた全員がハッとした顔をされる。私は、彼らを順番に見つめた。



「アルベール様は、間も無く私の夫になられます。彼のご両親と弟君も、当然私の家族でございましょう? 末永く、よろしくお願いいたします」



 深々と頭を下げれば、彼らの瞳は、やや潤んだように見えた。
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