転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!
6
ややあって、アルベール様は私の目を見つめられた。その表情は、苦渋に満ちていた。
「正直に、申し上げましょう。ニコル嬢から話を聞き出すにあたって、彼女を誘惑しました。ニコル嬢という女性の性質を考えて、それが一番手っ取り早い手段だと考えたのです。あなたに隠していたのは、軽蔑されたくなかったからです」
(誘惑……)
あまりにもストレートな回答に、私は思わずうつむいた。アルベール様は、私の隣に移動すると、焦ったように顔をのぞき込まれた。
「……やっぱり、軽蔑されましたか? ですが、決定的な関係にはなっていません。今夜も、彼女はそのつもりでしょうが、話だけ聞き出して帰るつもりでした」
「別に、構いませんわよ」
顔を上げないまま、私はぼそりと言った。
「聞き込みは、事件を解明するため、ひいては私の濡れ衣を晴らしてくださるため。そんなことは、わかっておりますもの。そのために効率的な手段を使われたとしても、私に責める権利はございませんわ」
「構わない、という表情ではありませんが。それに、どうして俺を見てくださらないんです?」
「仕方ないでしょう。構わない、という以外に、どう言えばいいんです!」
堪えきれず、私は叫んでいた。
「私たちの関係は、アリバイを作るための、偽りのもの。そんな偽装の恋人が、他の女性と付き合ったところで、嫉妬する権利は無いでしょう。……たとえ、どんなに辛く悔しかったとしても!」
ぽろぽろ、と抑えていた涙がこぼれ落ちる。私は、ぽつりと呟いた。
「私は、アルベール様を愛していますわ」
アルベール様が、息を呑んだのがわかった。
「モニク……」
「でも、あなたが私を愛してくださることはないわ。いくら想ったところで、あなたが気持ちを返してくださることは無い。優しいお言葉も笑顔も、ご実家へのご招待も、全部見せかけ……」
次の瞬間、私はアルベール様に抱き寄せられていた。広い胸にきつく抱き込まれて、私はとっさにもがいた。
「止めて……、放してください。同情は、まっぴらだわ!」
「同情なんかじゃない」
アルベール様は、低く呟いた。
「俺も、あなたが好きです」
思わず抵抗を止めた私の顎を、アルベール様が捕らえ、上向かせる。そして次の瞬間、唇が重ねられた。
「正直に、申し上げましょう。ニコル嬢から話を聞き出すにあたって、彼女を誘惑しました。ニコル嬢という女性の性質を考えて、それが一番手っ取り早い手段だと考えたのです。あなたに隠していたのは、軽蔑されたくなかったからです」
(誘惑……)
あまりにもストレートな回答に、私は思わずうつむいた。アルベール様は、私の隣に移動すると、焦ったように顔をのぞき込まれた。
「……やっぱり、軽蔑されましたか? ですが、決定的な関係にはなっていません。今夜も、彼女はそのつもりでしょうが、話だけ聞き出して帰るつもりでした」
「別に、構いませんわよ」
顔を上げないまま、私はぼそりと言った。
「聞き込みは、事件を解明するため、ひいては私の濡れ衣を晴らしてくださるため。そんなことは、わかっておりますもの。そのために効率的な手段を使われたとしても、私に責める権利はございませんわ」
「構わない、という表情ではありませんが。それに、どうして俺を見てくださらないんです?」
「仕方ないでしょう。構わない、という以外に、どう言えばいいんです!」
堪えきれず、私は叫んでいた。
「私たちの関係は、アリバイを作るための、偽りのもの。そんな偽装の恋人が、他の女性と付き合ったところで、嫉妬する権利は無いでしょう。……たとえ、どんなに辛く悔しかったとしても!」
ぽろぽろ、と抑えていた涙がこぼれ落ちる。私は、ぽつりと呟いた。
「私は、アルベール様を愛していますわ」
アルベール様が、息を呑んだのがわかった。
「モニク……」
「でも、あなたが私を愛してくださることはないわ。いくら想ったところで、あなたが気持ちを返してくださることは無い。優しいお言葉も笑顔も、ご実家へのご招待も、全部見せかけ……」
次の瞬間、私はアルベール様に抱き寄せられていた。広い胸にきつく抱き込まれて、私はとっさにもがいた。
「止めて……、放してください。同情は、まっぴらだわ!」
「同情なんかじゃない」
アルベール様は、低く呟いた。
「俺も、あなたが好きです」
思わず抵抗を止めた私の顎を、アルベール様が捕らえ、上向かせる。そして次の瞬間、唇が重ねられた。