イケメンは好きだけど近づかないでください!



そんなある日

久々に屋上に行ってみれば

知った後ろ姿があり

悪戯心がでてしまい

揶揄ってみることにした

すれば叫び声をあげる

それが面白くて



「ビビり過ぎだろ」



と笑ってやれば



『心肺停止しなかっただけマシです』



そんなすごい事したつもりはないかったが

こいつからすると

俺の顔はそれほどやばいのか



最近拝みに来ない事を聞けば

背後が怖いらしい

なるほどね

確かに女子は争いすごそうだもんな

争いの原因は自分なのに

呑気だなと我ながら思う



少し話そうと隣に移動すれば

1歩ズレて俺との距離を取る

なんか、居心地いい理由がわかった気がした

こいつ俺に何も求めてこないんだ

他の奴は少し優しくするとズケズケとくる

それがないことにラクなのを感じている



そういえば友達といるときや

俺がいきなり近づいた時は

わかりやすい反応や表情をするのに

すぐに真顔になる

いまもスンッと澄ました顔

疑問を素直にぶつけてみれば

頑張って堪えているそう



「じゃあ今の気持ちを隠さずにどうぞ」



無茶ぶりを振ってみた



『先輩めっちゃ顔面が強いです!天使!
同じ酸素吸える事に感謝!!!』



俺は思わず固まってしまった

こいつは本当に俺の顔が好きなのか?

と疑問に感じていたが

どうやら杞憂だったらしい

いつも真顔でそんなこと考えていたのかと

我慢して話を続けたが

駄目だった。笑いが込みあげてくる

こんなにも女の目の前で笑ったのは

いつぶりだろうか



チャイムも鳴ったので

教室へ戻るかと考えていれば

写真が欲しいと言われる

まぁそんくらいなら全然

つか、みんな盗撮ばっかしてるし

今更そんなの許可取るやついるのかとすら思った

揶揄いがいがあるから

わざと渋れば

金を積もうとしてくる

本当にこの子は面白いね

予想がつかない発言ばっかり



この居心地のいい距離を保つならいいよと

スマホを奪い肩を引きよせる

キメ顔の俺とは真逆の

状況が理解できていない顔の優ちゃん

それに満足しまたね~と屋上を出る

階段を2、3歩降りたところで



『ちっっっかいよ!!!!!!』



やっと理解できたのか

なにやら叫び声が聞こえた



「フハッ 面白いねーまったく」



鼻歌交じりに教室に戻った



< 19 / 90 >

この作品をシェア

pagetop