人肉病
目いっぱいの悲鳴に圭太が振り返り、駆け戻ってくる。
バタンッとドアが湿られたとき、圭太はすでに音楽室に戻ってきてしまっていた。


「お前ら、誰?」


男子生徒はやけに色白で、細い目を更に細めて私達を観察する。
その目に体中をなめ上げられているように感じられて寒気が駆け上がってきた。


「俺たちは3年生だ。ここに、逃げ込んできた」


圭太が男子生徒から視線をそらさないように注意して説明する。
男子生徒の手はまだ私の手首を掴んだままで、すぐにでも包丁を突き立てられる距離にいる。
心臓はバクバクと音を鳴らし、恐怖で喉の奥が閉まるのを感じた。


「へぇ。ここは俺のテリトリーなんだけど?」


男子生徒が首をかしげて伝えてくる。
勝手に入ってきてしまったことを怒っているんだろう。


「それならすぐに出ていく。だから、薫を離してくれ」

「薫って言うんだ?」


男子生徒の吐息が頬を撫でる。
気持ち悪さを感じる前に、非感染者のおいしそうな匂いだと本能が理解する。
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