人肉病
バラバラになる
私の言葉に圭太が唖然としている間に私はその場を離れた。
圭太からの返事を聞かずに離れるなんて自分に都合がいいと思うけれど、これ以上負担をかけるわけにはいかなかった。
圭太がどんな気持ちで死体を運んできたのか、それを考えるだけで胸が苦しくなってしまう。

本当はひとりでいるなんて耐えられない。
圭太と別れることだって辛くてたまらない。
だけど、圭太ひとりだけならこれほど困難な状況に立たされることもなかったはずなんだ。

私が圭太の足を引っ張っている。
下手をすれば、私も圭太も共倒れになってしまうかもしれない。
それだけは避けないといけないことだった。

食事を済ませた私の体力は自分でも驚くほどに回復していた。
足取りも軽く、さっきまでの体の重さもどこかへ吹き飛んでいた。

このまま昇降口へ向かい、自衛隊員に撃ち殺して貰えばいい。
ここで自分の人生が終わるのは最初から決まっていたことなんだ。
自分にそう言い聞かせて昇降口へ近づいていく。

自衛隊員の姿が視界に入った瞬間、思わず足を止めてしまっていた。
殺されるためにここまで来たのに。
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