人肉病
脱出成功
私と圭太のふたりは家庭科部の生徒たちが使っている調理室へ向かい、タッパーを何個も持って来ていた。
倒れている彼の肉を包丁で削ぎ落とし、タッパーへ詰めていく。
その作業をしている間、圭太は目をそらさずにジッと待っていてくれた。

私と圭太が一緒にいるためにはもうこれしか方法がなかったのだ。
透明タッパー3つ分が人肉で満たされてずっしりと重たくなった時、私の胸には安堵感が広がっていた。
これでもうしばらく食いつないでいくことができる。
圭太の食事は国が援助してくれているから心配することもないはずだ。


「なんか、やけに静かだよな」


私は重たくなったタッパーを両手に抱えて立ち上がる。


「もう、そんなに生徒も残ってないんだと思うよ」

「そうだけど、外の話だよ」

そう言われて私達は窓から外の様子を伺う。
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