人肉病
グラウンドに自衛隊の車が止まっているけれど、その台数は明らかに少なくなっていた。
そうして見ている間にも、1台の車がグラウンドから出ていく。


「自衛隊が撤退して行ってる?」

「まさか。あれだけ私達を監視してたのに?」


けれど外にいる自衛隊員たちの姿は明らかに少なくなっているみたいだ。
どういうことだろう?
そういえば、私達はさっきから昇降口の近くで騒ぎを起こしているのに、誰も止めに来なかった。
それに気がついた私と圭太は目を見交わせて昇降口へと足をすすめる。


「誰もいない」


昇降口を見張っていたはずの自衛隊員の姿がどこにもなくなっていたのだ。


「今なら外に出られる!」


思わず声を大きくして呟くけれど、自衛隊員たちが急にいなくなった理由がわからないから、警戒を解くわけにもいかない。


「もう、諦めたのかも知れないな。街中で感染者が出て、建物を封鎖する意味を失ったのかも知れない」

「だとすれば、外へ出ても攻撃されないよね?」


自衛隊員の数は減っているものの、完全に撤退したわけじゃない。
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