人肉病
ワクチン
圭太の話をすべて聞き終えた私と直は目を見交わせた。
なんの説明もなく研究施設に連れて行かれ、突然注射を打たれたという説明は本当だろうか。
直はいぶかしげな視線を圭太へ向けている。


「本当なんだ! 信じてくれ!」


拘束されたままの圭太が必死に叫ぶ。


「その注射は結局なんだった?」

「わからない。なにも教えてくれなかったから」


その答えに直は圭太に近づいた。
圭太は警戒した表情を浮かべるけれど、手足を拘束されているのでされるがままだ。


「打たれた腕はどっちだ?」

「確か、右腕だったと思う」


直は圭太のシャをまくりあげて腕の内側を確認した。
ちょうど肘の内側あたりに赤い点が見える。


「これが注射の痕ってことか?」
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