私の担当医。~2~


トイレに逃げても
真由さんが入ってくる

私の一人暮らしの家は引き払ってもうない

海斗のマンションも結局、海斗のもので
入ってこれちゃう。

私には1人になる居場所がない。


「ストップ、すず
部屋戻って」

腕を掴まれて点滴抜いたところをガーゼで止血された。

「離して。」

「ごめん。俺が急ぎすぎた。
部屋戻ってちょっと話しよう。
ごめんな。」

「...」

「嫌だ、話すことなんかない」

「じゃ逃げる必要ないだろ。
なんか不満があって俺のところにいたくないから点滴まで抜いて消えようとしている。
その不満はなに?」

「...」

...ウッ...ハァ

急に背中が痛くて顔をしかめた。
痛みで反射的に背中を抑えて座り込んでしまった。

「大丈夫か?」


「...離して触らないで」

座り込む私に背中をさすった海斗の手を振り払った

「とりあえず部屋戻って、痛み止め入れ直そう。」

「...いい。
もう、いいよ」



「えっ」

気がつくと海斗にお姫様抱っこをされていた。

恥ずかしくて声が出せなかった。

重いよね。
絶対重いよ


そのまま部屋に強制送還された。

「ここで点滴を入れ直す
とってくるから待ってて」

海斗が部屋を出てった

1人になって少し冷静になった

点滴抜いた後がちゃんと止血されてる。
海斗の前で抜いたの初めてだったけど
むかつくくらい冷静だった。


しかも今回は全く怒られなかった。

海斗が優しくて逆に怖かった。
事故抜去して逃げたのに
謝られた。


なんで...
海斗が少し変わった気がした。
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