S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 それでなくても、和葉は男性に免疫がない。優しくされることにも、ドキドキする台詞をささやかれることにも慣れていないのだ。

「というか、なんで〝さん〟づけ? 夫婦なんだから呼び捨てでいいだろう」
「無理です、それは絶対に」

 間髪を入れずに和葉が答えると、柾樹はクッと苦笑する。

「まぁ、急ぐ必要はないか。これからは、ずっと一緒にいられるんだしな」

 そんなふうにつぶやいて、彼は胸に抱き締めている和葉の髪にキスを落とす。

(モテる人って、これが素なのかな?)

 まるで昔から和葉を好きだったかのような台詞を、彼はナチュラルに口にするのだ。和葉が特別なわけではなく、女性にはみんなそうするのだろうとわかっていても……戸惑ってしまう。

「育郎さんが元気になってからでいいから、またデートしよう」
「え?」

 視線だけを動かして彼を見る。柾樹はにこりと無邪気な笑顔を見せた。

「前回は俺の趣味で選んだから、次は和葉の好きなところに行くか」
「私の……ですか?」

 人並みにデートへの憧れはあった。映画や遊園地、それから……。

「スイーツビュッフェがいいです!」

 ずらりと並ぶおいしそうなスイーツを、いくら食べてもいいなんて天国のようだ。別にデートでなくてもいい気もするが、好きな人と行けたら楽しいだろうなと思っていた。

(べ、別に柾樹さんは好きな人ではないけど……)

「うっ、甘いものはそんなに……」
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