S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 柾樹は露骨に渋い顔になる。

「苦手ですか? じゃあほかのプランを――」

 残念だけど仕方ない。和葉は代案を出そうとしたが、柾樹は考え直したように「いや、行こう」と言い切った。

「無理しなくていいですよ。ビュッフェはほかの人を誘ってみてもいいですから」
「いいや、俺が一緒に行く」

 彼はこうと決めたら譲れない性格らしい。

「じゃあ、楽しみにしています」

 和葉は素直にそう言った。自分でも単純だなと思うけど、柾樹が和葉のために苦手なものでも付き合ってくれようとする気持ちがうれしかった。

(沙月さんとのお見合いをの件では、最低最悪の人だと思ったけど……案外優しい一面もあるのよね)

 柾樹という男は複雑なのか単純なのか、和葉にはまだ全容がつかめない。

 それからちょうど二週間後。育郎が無事に退院できることになったので、和葉も柾樹の了承を得て早くも里帰りをすることになった。

 病院に育郎を迎えに行き、ふたりで一緒に自宅へと戻ってきた。

 茶の間の丸テーブルに向かい合わせに座って、ようやくひと息つく。

「退院おめでとう、おじいちゃん。本当によかった!」
「いろいろ世話をかけてすまないな。新婚早々によかったのか?」
「もちろん。柾樹さんもこころよく送り出してくれたし」

 育郎は顔色もよく、倒れる前とちっとも変わらない元気な様子だった。
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