S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 柾樹に運転をさせるわけにはいかないので、運転代行を頼んで彼の――いや、もう和葉の家でもあるマンションに帰宅した。

 和葉はベッドに彼を寝かせ、無理やり熱をはからせた。

「熱、あるじゃないですか? 片頭痛じゃなくて風邪ですよ、きっと」

 自宅に戻ったら気が緩んだのか、柾樹の顔はもう病人のそれだ。頬が上気して、呼吸も少し苦しそうだった。

「ごめんなさい、私がもっと早く気がついていれば……」

 柾樹と過ごす時間が楽しくて、夢中になってしまって、彼の異変に気づけなかった。

「それを言われると、俺の立場がなくなるだろうが」
「え?」
「……医師のくせに、和葉とのデートが楽しすぎて自分の体調不良にまったく気がつきもしなかった」

 クスリと笑う彼につられて、和葉もほほ笑む。

「ゆっくり休んでくださいね」
「あぁ。和葉はタクシーで帰ってくれ。送ってやれなくて悪いな」

 迷惑かなと思いつつも、和葉は勇気を出して言ってみた。

「まだ帰りたくない……です」
「は?」
「もう少し残って、看病したらダメですか? 一応、私はあなたの妻ですし」

 柾樹は驚いたように目を瞬き、それからひどく困った顔で天井に向かって「はぁ」と息を吐く。

「迷惑ですか?」

 彼はちらりと和葉に視線を移す。

「――風邪はな、同じ空間にいると本当にうつるんだ。だから帰れと言ったのに……」
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