二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「たっくんのくせに、香澄をいじめるなんて生意気だよ」

 そこで助け(?)に入ったのは、自称香澄の運命の相手。そう。あくまで自称だと、拓人は無理やり認識していた。

「これのどこがいじめてんのよ!ていうか、元々はあんたが、ゾンビのように私の家に来るから、こんなことになってんでしょうが!」
「えっ、どういうことですか?」

 香澄にとって、涼が拓人に家にいつの間に行っていたことが驚きだった。
 拓人は、涼に見せつけるようなため息をついた。

「あんたが仕事を受けてるそのゲームのキャラに嫉妬しまくったこいつが、愚痴りにきたのよ」
「ぐ、愚痴ですか!?」

 涼には決して似合わない言葉は、香澄をまたもや驚かせた。

「人聞きの悪いこと言わないでくれるかな」
「何よ、香澄が〜こいつらばかり気にするなんて許せない〜って泣きついてきたのはどこのどいつよ!」
「それはたっくんの勘違いじゃないかな」
「はあ!?何よ何よ!せっかく……あんたのためなんかじゃないけど……調べてきてあげたってのにその言い草は!」
「それだけは評価してあげるよ。ということで香澄」

 涼は、香澄の手をとり、そっと握った。
 それは、真実を話すまで、この場から香澄を逃さないという涼の決意の表れでもあった。

「教えてくれるかな?僕は弁護士だからちゃんと真実を知りたいんだ」
「……それ……は…………」

 涼は、さらにぎゅっと手に力を込める。

「ね、お願い」

 涼の、低く響く優しい声に、香澄の心のバリアが勝手に解かれてしまった。
 でも。

「私、出産後に涼先生に嫌われたくないんです」

 香澄の最初の告白文は、涼だけでなく拓人にとっても、全くの想定外だった。
< 57 / 167 >

この作品をシェア

pagetop