二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「お、おはようございます……」

 香澄は、自分が涼の寝起きの顔を見るのは好きだったが、自分が涼に見られるのは耐えられなかった。

「こら、顔隠さないで」
「嫌です。汚いですから……せめて顔を洗わせてください」
「ダメ。もっとここにいて」

 そう言いながら、涼は香澄の髪を手で梳いていく。

「君の髪は、触り心地がいいね。ずっとこうしていたいよ」

 香澄は、自分の髪質に自信があるわけではなかったので、何だか気恥ずかしかった。

「美容院……行ってないから……」

 そんなにいい髪じゃないですよ、という意味で言ったのだが

「美容院行きたい?予約する?」

 とさらりと言われてしまった。

「そ、そう言うわけじゃないですけど……」

 香澄は、次何を話そうかと言葉を探しながら視線を窓に向けた。
 太陽は、すっかり昇っていた。
 もしかすると、もう昼近いのかもしれない。

「せ、先生」
「ん?」
「今日……何かすることあるんですか?」
「何かって?」
「だって……先生昨日……私の休みを先輩に交渉してたから……」
「ああ、今してるよ」
「え?」
「今日は、香澄が僕の愛を信じてくれるまでずーっと抱きしめて、キスするって決めてるんだ」

 そう言うと、涼は香澄の唇を食べるようなキスをして、舌で味わいながらこう囁いた。

「もう君が、僕の愛を疑わないように、この唇にちゃんと、覚えてもらうから」
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