二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「まあ……そうだね……可愛いとは、思う、けど……」

 涼自身は、香澄以外の存在を可愛いと思ったことはないが、香澄が期待している答えを言った。
 その結果、香澄が見せてくれた「やっぱりそうですよね」と言いたげな表情は、可愛くて撫で回したくなった。

「涼先生、それではですね……スマホを貸していただけませんか?」
「え?」
「お願いします。私のスマホはここにはないみたいなので」

 その理由は涼が、香澄を寝かしつけた後にしっかり取り上げて、香澄の仕事部屋の奥の方にしまい込んだからだったりする。
 とは言え、とても可愛い可愛い香澄の頼みでも、自分のスマホを香澄に見せるのは躊躇われた。
 何故なら、香澄とのことを悩んだ結果の、山のような検索履歴や、こっそりと盗撮した香澄の寝顔が大量に収められているから。

「……今、必要?」
「できれば。もしくは私のスマホを」
「いや、ちょっと待って」

 せっかく、今香澄が自分の腕の中で大人しく自分だけを見てくれているのに、ここで香澄のスマホの場所を教えてしまえば、また香澄は視線を液晶に向けてしまう。
 それは、今は嫌だと思った涼だった。
 涼は、普段滅多に使わないシークレットモードのブラウザを出してから香澄にスマホを渡した。
 これなら、自分の検索ワードが見られることはないと思ったから。

「ありがとうございます」

 香澄はそのまま、急いで何か文字を打ち込んだかと思うと

「これも、可愛いですよね」

 と画面を見せてきたのだが……。

「香澄?これ?」
「はい。可愛いと、思いません?」

 香澄が出してきたのは、胸とお尻が大きめで、ウエストが不自然に細い……でも顔が幼く描かれた水着姿の女性のイラストだった。
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