キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─




「よりくん、よりくん」


「…どーしたの。カンナチャン」


「しりとり…する」


「いいよ?じゃあ俺からね、リコピン」


「…………」



前に、公園で。
“俺にしときな”って言ってきたこと。

あれはどういう意味なの…?と、聞きたい。


でも、今日は。

今日だけは、ひとりの神様のことを思って眠る最後の日だ。



「…頼くん…、ギター…、もう1回やってみたい…」


「ん、教える。でも……もーちょいこのまま」



このスタジオを出る頃は男の子に戻るから。
それまで、ちょっとだけ休憩。

今までアクセル全開で突っ走りすぎて、少しだけエンストしちゃったみたい。



さようなら、初めての恋。



気持ち悪いかもしれないけれど、パーカーを貰った日以降ずっと枕元に置いて眠っていた。

せめて夢でも会えますようにって、願いを込めたりして。



わたしの初恋はそんな神様なんですって。

いつか笑って話せるときが来ますように。



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