Actress〜偽りから始まるプラハの恋〜
まぁ話もひと段落したし、ゆっくり夕食でも食べながら今後について話し合おうと思った矢先。

服の中に手が入ってきたかと思うと、くるりと身体を反転させられ、私が壁際に追い詰められる形になっていた。

「自分が悪かったからお詫びする」と言い出した智くんは、ニッコリ笑う。

思わぬ展開に呆気に取られていると、ブラのホックを外され、溢れ出した柔らかな膨らみをやわやわと揉まれる。

壁に押し付けられながら唇を奪われ、その激しさに頭の芯がぼーっとした。

胸に触れる手と反対側の手はスカートをたくし上げて太ももを撫でながら徐々に上へと進んでくる。

「んんっ‥‥あぁっっ‥‥」

一番敏感な部分に達した頃には、もう私は何も考えられないくらいとろけていて、甘い声を上げるだけだった。

「僕からのお詫びだから、環菜はただ感じていればいいよ」

お詫びだと言いながら、いつも以上に執拗に丁寧に繰り返される愛撫におかしくなりそうだった。

力が抜けて智くんに支えられるように立っている状態の中、さらなる快楽が襲ってきて、耐えきれずに果ててしまう。

「僕の反省が伝わった?勝手に不安になって環菜を悲しませて悪かったって本当に思ってるよ。僕は環菜の帰る場所として、離れていても環菜のことを思ってるし、応援してるよ。‥‥愛してるよ環菜」

「んっ‥‥智くん‥‥。私も愛してる」

服を脱ぎ捨て、立ったまま汗ばむ肌で抱きしめあい、気持ちを確認しあって、本当に満たされた気分だった。

だけどその後も「まだお詫びが足りない」と言い張る智くんに場所を変え、体勢を変え、何度もお詫びを捧げられて、気付けば夜中ベッドの上だった。

せっかく作った夕食は食べ逃してしまったのだ。



そんな濃厚な昨夜の行為を思い出し、身悶えているとスマホのバイブ音が鳴り響く。

着信相手を確認すると皆川さんからだった。

「もしもし環菜?急だけど今日午後予定が入ったから出て来られる?ドラマの打合せで環菜にも参加して欲しいってNetfield社が言ってるんだよ」

「もちろん大丈夫だよ」

「じゃあ後で時間と場所をメッセージするよ。いよいよ撮影も近づいてきたね。僕もなんだか緊張するよ」

「今から緊張していてもしょうがないよ!私ができるのは全力で頑張るだけ」

「いつも思うけど、環菜は意外と肝が据わってるよね。マネージャーとしては頼もしくて助かるけど」

そう言って通話を終えると、私は昨夜の甘い記憶からなんとか抜け出し、シャワーを浴びて、昨夜の夕食のつもりだった食事を朝食として食べる。

身支度を整えると、家を出る前にドラマの台本に再度目を通して軽く練習すると、その台本をバッグに入れて家を出た。
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