乙女と森野熊さん
しばらく皆食事の手を止めて黙っていたが、秋山先輩が口を開く。
「わかった。とりあえずは二人とも無事で良かったよ。
佐藤さんについては僕も距離に気をつけつつ様子を見てみる。
しかしさすが森野さんだよね!登場が格好よくて男でも惚れるわー」
深刻な雰囲気にしないようにか急に明るい話題に変えた先輩に、青山さんも興奮気味に乗ってくる。
「ほんとです!腕一本で釣り上げるとか鮭持った熊の置物思い出しますね!」
「え、それを思いつく?」
高木君が呆れた声で突っ込んで、どっと笑いが起きた。
わかる。みんなが気を遣ってくれていることが。
涙が目を覆いそうになるのを我慢して私も笑う。
真奈美にもこういう雰囲気を味わって欲しい。
私は再度彼女の力になりたいと強く決意した。