乙女と森野熊さん
うちの学校は上の少し下、というか中の上という曖昧なレベルだが自由な校風で歴史もあり人気がある。
自宅から三十分くらいで余裕を持って門をくぐれば視線を感じた、女子達からの。
「乙女ちゃんおはよう!」
「おはよう」
「ほら、あの人が噂の乙女先輩だよ」
元クラスメイトの女子に挨拶を返せば、少し離れたところから新一年生の女子達がこそこそ話しているのが聞こえ、私はまだ中学生のような後輩達に向かって、
「学校で何か困ったことがあったら遠慮無く生徒会に言ってね」
「「「はいっ!!!」」」
優しくそう言うと、女の子達が一斉に事をして後ろからきゃぁきゃぁと盛り上がる声が聞こえ、苦笑いしながら靴箱に行けば待機していたかのように現れたクラスメイトの佐藤真奈美が拗ねたような表情で私を見る。